日本小児外科学会雑誌
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小児外科手術におけるプロトラクターの有用性について
小高 哲郎金森 豊田中 裕次郎伊東 充宏杉山 正彦田中 潔橋都 浩平
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2003 年 39 巻 2 号 p. 163-167

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抄録

【目的と方法】プロトラクターは創傷保護機能を兼ね備えており,創の保護および術野の展開という意味で非常に有効な開創器である.2000年10月から2001年10月31日までの1年間に当科にてプロトラクターを使用した18例(肝門部空腸吻合術および胆道遺影6例,虫垂切除術2例,膀胱尿管新吻合術7例,重積回腸切除術1例,十二指腸側々吻合術1例,腎盂形成術1例)について使用年齢,本開創器使用の合併症の有無,皮切の大きさ等を検討した.【結果】年齢別では日齢14日から11歳までの年長児まで対応可能であり,本開創器の使用には年齢制限はないと思われた.18例中創感染等のプロトラクターに起因すると思われる合併症は全く認められなかった.皮切の大きさは3cmから10cmまで対応可能で,十分な術野が確保できた.また腹腔内洗浄の際も洗浄液の回収が確実にでき,体温維持の面からも有用であると思われた.さらに,泌尿器系の手術でも有用性が示された.【結論】創傷保護機能を兼ね備えたプロトラクターは,とりわけ小児外科手術においては有用であり,今後ますます応用範囲が広がる開創器と思われる.

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© 2003 特定非営利活動法人 日本小児外科学会

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