日本小児外科学会雑誌
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偶然発見され経過を観察した早産児神経芽細胞腫の1例
秋山 卓士後藤 隆文今治 玲助
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2004 年 40 巻 1 号 p. 25-28

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抄録

我々は在胎28週6日,出生体重1.370gにて,双胎の第2子として出生した患児において,動脈管結紮術を施行した際(生後34日目),偶然左側後縦隔に約径15mmの腫瘤(神経芽細胞腫)を認めた.経過を観察していたが,腫瘤は退縮せず,逆に増大傾向を示したため,生後9カ月(修正月齢6ヵ月)に腫瘍を全摘し,化学療法(6ヵ月間)を施行した.現在患児は術後2年であるが,再発なく元気である.ところで神経芽細胞腫は自然退縮したり,成熟したりする特異な悪性腫瘍である.また近年超音波検査技術の発達により,産科検診で胎児期に奇形や腫瘍が発見される.さらに早産児に対する治療技術も向上してさまざまな治療が可能になってきているので,他の治療の際に偶然腫瘍が発見されることもある.今後このような胎生期に発見されたり,早産児で偶然発見された神経芽細胞腫症例に対する治療指針の確立が望まれる.

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© 2004 特定非営利活動法人 日本小児外科学会

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