日本小児外科学会雑誌
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高アミラーゼ血症により四肢末端の骨病変を呈したと考えられる外傷性膵損傷の1例
田井中 貴久池上 玲一渡邊 芳夫
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キーワード: 外傷性膵炎, 骨病変, 幼児
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2004 年 40 巻 5 号 p. 703-707

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抄録
今回我々は,外傷性膵損傷(I型)にて保存的治療中に四肢末端の腫脹,発赤,及び骨病変を来たした稀な1例を経験したので報告する.症例は,6歳男児で母親の運転する車の下敷きとなり,来院した.腹部CTにおける膵体部の挫傷の所見と血清アミラーゼ値の上昇を認め,外傷性膵損傷と診断し,保存的治療を開始した.第27病日には,血清アミラーゼ値3,549IU/lにまで上昇し,同時期より四肢末端の腫脹,発赤が出現し,同部位の単純X線写真で骨融解の所見を認めた.保存的治療を継続したが,これらの症状は改善せず,第42病日にMRCPを施行したところ,主膵管の狭窄及び横行結腸間膜内に嚢胞性病変を認めた.第44病日に膵嚢胞切開ドレナージ,第50病日にLetton-Wilson法に準じた手術を施行し,四肢末端の腫脹,発赤及び骨病変はともに改善した.
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