2005 年 41 巻 2 号 p. 206-211
出生前診断された脾原発血管外皮腫の1例を報告する, 症例は目齢0, 男児, 胎生28週で腹腔内腫瘍を指摘され, 急速な腫瘍増大と羊水過少を来たしたため29週3日で緊急帝王切開により出生した.出生直後より腫瘍による著明な腹部膨満と呼吸障害を呈し, 血液検査で貧血と凝固機能の異常を認めたため生後8時間で緊急摘出術を施行した.腫瘍は脾臓原発であり, 病理学検査にて先天性血管外皮腫と診断した.脾臓原発の先天性血管外皮腫は極めて稀な疾患であり, また出生前診断され出生直後にoncologic emergencyを呈した症例の報告はない.