2005 年 41 巻 2 号 p. 200-205
症例は胎齢26週の胎児超音波検査にて腹腔内嚢胞性病変を指摘された女児, 39週2日, 自然分娩にて出生(出生時体重は3.328g).生後腹腔内嚢胞性病変として経過観察していたが, 生後3ヵ月時に急性腹症をきたし緊急手術を施行.腫瘤は十二指腸と壁を共有しており, 十二指腸重複症と診断, 十二指腸, 胆管, 膵管との交通は認めなかった.可及的に腫瘤切除し十二指腸との共有壁の残存粘膜は焼灼, 病理学的にも異所性胃粘膜を合併した十二指腸重複症と診断.十二指腸重複症においてもこのような急性腹症にて緊急手術に至る症例も存在し, 本症が疑われた場合には診断的意味も含めて, 早期の鏡視下精査および手術を試みるべきと考える.