日本小児外科学会雑誌
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当科におけるNonpalpable Testisにおける診断と治療についての検討
天江 新太郎松本 勇太郎
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キーワード: 腹腔鏡検査
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2005 年 41 巻 5 号 p. 739-743

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抄録

【対象】過去11年間に経験した停留精巣190例のうちnonpalpable testis (NPT)と診断された34例(18%)を研究対象とした.【結果】手術時年齢は1歳未満が12例, 1歳以上が22例であった.患側は右:左:両側=7:24:3であった.精巣の検索目的に腹腔鏡検査を32例で, 開腹を1例で, 鼠径部切開を1例で施行した.その結果19例(56%)では精巣を認めず5例は精巣無形成, 14例はvanishing testisと思われた.15例(44%)では精巣を認め全例で鼠径部切開にて精巣固定術を行った.このうち腹腔内精巣で陰嚢への固定が困難であった2例では一期的にFowler-Stephens法を施行した.15例の手術診断では腹腔内精巣は8例であり7例はpeeping testisであると思われた.6カ月以上経過観察し得た10例では手術時に低形成が認められた6例中, 術後萎縮が認められたのは1例のみであった.Fowler-Stephens法を施行した2例では術後萎縮は認められていない.【結語】NPTでは腹腔鏡による精巣検索が有効であった.検索結果からNPTでは鼠径管内精巣と腹腔内精巣が約20%ずつであり, 半数以上の症例はvanishing testis等であることが示唆された.術後6カ月以上経過観察した10例中, 術後に精巣萎縮を認めたのは1例のみであった.

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