日本小児外科学会雑誌
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急性腹症で発症し十二指腸壁に炎症性浸潤をきたしていた後腹膜リンパ管腫の1例 : 小児腹部リンパ管腫報告例の検討
内山 昌則村田 大樹大滝 雅博
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2007 年 43 巻 7 号 p. 938-944

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抄録

8歳女児,急性腹症で発症した後腹膜リンパ管腫の切除例を報告した.十二指腸壁に炎症性浸潤を認め漿膜筋層を合併切除し多嚢胞性腫瘤を全摘出した.最近6年間の腹部リンパ管腫報告例71例を集計した.小腸間膜リンパ管腫は33例(うち小腸壁に及ぶものないし腸管発生4例),大腸間膜発生は5例であった.また大網9例,小網1例,後腹膜21例,脾臓2例であった.小腸間膜リンパ管腫33例中,23例(70%)は腫瘤とともに隣接腸管が切除(小腸リンパ管腫は4例とも)され,他の10例は腫瘤切除された.大腸間膜リンパ管腫は5例全例炎症で発症し,3例が腫瘤切除術,2例が部分切除/開窓術であった.大網および小網リンパ管腫10例のうち4例が炎症で発症し,切除術は7例,部分切除/開窓術は3例であった.後腹膜リンパ管腫21例中2例が消退し,19例に手術がなされた.完全切除例は13例,部分切除は6例で,結局約30%は切除困難例で再手術を必要としたり乳び液の排出が続く例が報告されていた.71例中多嚢胞状がほとんどであった.海綿状リンパ管腫は4例で,小腸間膜発生の3例は合併腸切除がなされ,1例は脾臓発生で摘除されていた.

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