日本小児外科学会雑誌
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総胆管を合併切除した肝十二指腸間膜内成熟奇形腫の1小児例
福永 渉飯干 泰彦澤井 利夫関 保二豊坂 昭弘藤元 治朗
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2007 年 43 巻 7 号 p. 953-956

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抄録

症例は3歳男児.検診にて腹部腫瘤を指摘され,当院を受診した.CT,MRIにて肝十二指腸間膜内に6.5×6.5×6.5cmの腫瘍を認め,一部に石灰化が存在した.奇形腫の診断で摘出手術を行った.開腹時,腫瘍は総胆管と強固に癒着し,剥離が困難であったため,総胆管を合併切除し,肝管空腸Roux-Y吻合術を行った.腫瘍は被膜に覆われ,内部は上下肢・体毛・手指・爪を有する胎児様形態を呈していた.組織学的には分化した三胚葉成分が確認でき,成熟奇形腫と診断された.肝は線維化が強く,腫瘍による総胆管の圧排から胆汁鬱滞が生じたためと考えられた.術後経過は良好で6年間再発を認めない.これまで肝十二指腸間膜内の奇形腫の報告は,国内外で6例であり,小児では4例のみである.肝十二指腸間膜内の奇形腫は,総胆管に癒着,圧排し,胆汁鬱滞から肝の線維化をまねく可能性があると考えられる.

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