日本小児外科学会雑誌
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内視鏡下の嚢胞内への送気で確定診断し,摘出した新生児梨状窩瘻の1例
飯干 泰彦田附 裕子関 保二鈴村 和大藤元 治朗
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キーワード: 新生児, 梨状窩瘻, 内視鏡
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2007 年 43 巻 7 号 p. 948-952

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抄録

梨状窩瘻は繰り返す頸部感染で発見されることが多い.今回,炎症を起こす前に発見され,嚢胞内含気が認められ,嚢胞に内視鏡的に送気することで位置を確認して摘出できた新生児例を報告する.症例は日齢2の女児.主訴は左頸部腫瘤.38週4日,体重2,648gで出生.左頸部に5×5cm弾性軟の腫瘤を触知した.MRI上,嚢胞と嚢胞内含気を認めた.下咽頭食道造影では嚢胞への造影剤流入を認めた.日齢19に瘻孔および嚢胞摘出術を施行した.内視鏡下に送気することで左梨状窩に瘻孔が開口し,空気の嚢胞内流入も体表より触知し,左梨状窩と嚢胞の連続性を確認でき,瘻孔および嚢胞を切除できた.術後経過は良好で6か月間再発を認めない.新生児の頸部腫瘤では梨状窩瘻を念頭におき,早期発見に努め,感染の起こる前に治療を行うことが重要と思われ,嚢胞内含気が診断,治療に有用である.

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