2008 年 44 巻 1 号 p. 24-28
患児は3か月男児.タール便を認め,自然軽快するも貧血も認めたため,精査となった.診察時に腹部腫瘤に気付かれた.腫瘍マーカーではAFPのみ高値であり,CTにて石灰化を認め後腹膜奇形腫と診断した.生検目的に開腹したが,胃後壁が原発で周囲組織に浸潤を認めなかったため,胃後壁の一部と共に摘出術を施行した.その後外来にて経過観察していたが,術後2歳3か月時に腹部膨満出現し,精査したところ再発が疑われた.AFPは正常値であった,2歳4か月時に再手術により再発腫瘍摘出術を施行した.腫瘍は成熟型奇形種であった.再手術後7か月を再発無く経過し外来通院中である,今回我々はタール便にて発症した非常に稀な胃原発未熟型奇形腫の1例を経験したので文献的考察を加えて報告する.