日本小児外科学会雑誌
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術前超音波対側検索による小児片側鼠径ヘルニア術後対側発症予防効果
秦 信輔奈良 啓悟野村 元成大島 令子前田 栄賀川 義規
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2008 年 44 巻 5 号 p. 667-671

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抄録

【目的】小児片側鼠径ヘルニアに対する術前超音波検査による対側鞘状突起開存(contralateral patent processus vaginalis (CPPV))の検索およびCPPV陽性例における対側同時手術により小児片側鼠径ヘルニア術後の対側発症率が低下したか否か検討した.【対象と方法】1998年8月より2002年12月に経験した348例の片側鼠径ヘルニアのうち術前超音波検査にて74例(21.3%)がCPPV陽性と診断され両側手術を受けた.残る274例(男児128例,女児146例)のCPPV陰性である片側手術症例を手術施行群とした(平均観察期間6年5か月).続く2003年1月から2005年12月までに経験した片側鼠径ヘルニア245例(男児127例,女児118例)では超音波によりCPPV陽性であった53例(21.6%)も対側手術を行わず経過を見ておりこれを経過観察群とした(平均観察期間2年10か月).当院にて対側手術を行った症例を対側鼠径ヘルニア発症例とし対側発症率を2群間で検討した.【結果】手術施行群の対側発症例は274例中3例(1.1%)であったのに対し経過観察群の対側発症例は245例中22例(9.0%)で有意に発症率が低下した(p<0.0001).また経過観察群の対側発症例22例のうち19例は術前検索にてCPPV陽性例であった.経過観察群における術前検索にてCPPV陰性例の対側発症率は192例中3例(1.6%)であった.また手術施行群および経過観察群をあわせた術前検索CPPV陰性例の対側発症率は462例中6例(1.3%)であった.【結論】小児片側鼠径ヘルニアにおける術前超音波対側検索は片側術後対側発症予防に有用である.

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