日本小児外科学会雑誌
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食道閉鎖症long gap例に対する外科治療の検討
出口 英一岩井 直躬木村 修久保田 良浩深田 良一小野 滋佐々木 康成嶋寺 伸一文野 誠久津田 知樹樋口 恒司
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2008 年 44 巻 5 号 p. 695-699

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抄録

1983年から2005年までの23年間に当科で経験した食道閉鎖症55例のうち,待期的食道吻合術を適応したlong gap例を対象として後方視的に臨床的検討を行った.検討した症例は5例(Gross A型; 2例,B型; 1例,C型; 2例)でgapの長さは25mmないし35mm以上であった.5例中4例には,Howard-Myers法による上部食道盲端延長法を施行した.これら4例中3例には,上下盲端が重なり合った時点で食道食道吻合術を行った.他の1例では先天性心疾患の治療に難渋し,心臓手術が優先されたため7歳時にRehbein-加藤法による根治術を行った.一方,前医により頸部食道瘻を造設された1例には,木村法による上部食道のmulti-staged extrathoracic elongationの後,食道吻合術を行った.今回検討した5例全例で術後吻合部狭窄を認め,食道拡張術を要した.術後10年以上経過した3例中,2例は予後良好であった.B型で術後の吻合部狭窄に対し再吻合術を要した1例では,12年を経過してGERに対する再噴門形成術を要し,現在嚥下機能障害と吻合部狭窄に対して加療中である.食道開鎖症long gap例に対する待期的根治術は,術後に吻合部狭窄を認めることはあるが,患児固有の食道を用いた治療が充分可能であった.

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