2008 年 44 巻 5 号 p. 700-703
1歳10か月女児の急性膵炎に対し,造影CT冠状断再構築像を用いて総胆管非拡張型膵・胆管合流異常症(PBMJ)と診断しえた症例を経験した.PBMJの診断に通常用いられる内視鏡的逆行性胆管膵管造影(ERCP)は,小児では全身麻酔が必要であるうえ被曝量も多く,膵炎の増悪の可能性が危惧される.近年よく行われている磁気共鳴画像診断装置を用いた胆道造影(MRCP)は,被曝がなく冠状断,矢状断など任意のsliceで断層像を得られるが,撮影時間が長く解像力に劣るため,息止めのできない乳幼児では,拡張総胆管の描出は可能でも,合流異常そのものの描出は困難である場合が多い.Multi-detector CTは短時間で高解像の画像を得ることができ,さらに冠状断,矢状断の再構築も可能となっている.今後,乳児や若年幼児のPBMJの診断に対して,造影CTは試みる価値があると思われた.