日本小児外科学会雑誌
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両側性ウイルムス腫瘍に対するフック型ハーモニック・スカルペル^[○!R]を用いた腎部分切除術
漆原 直人松岡 尚則谷 守通福本 弘二鈴木 孝明福澤 宏明川島 章子長谷川 史郎
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2008 年 44 巻 5 号 p. 704-708

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抄録

両側ウイルムス腫瘍では,腫瘍の完全切除と腎機能温存を目指す腎部分切除を行う必要がある.今回,超音波凝固切開装置であるフック型ハーモニック・スカルペル^[○!R](HS)を用いて無阻血下に両腎部分切除を行ったので報告する.症例は1歳4か月の女児.Regimen DD-4Aが12week終了した1歳8か月で両腎部分切除を行った.手術は腎動静脈,尿管にテーピングした後,術中USにて切除ラインを決め,腎皮膜をHSフック内側のシャープ縁で切開し,続いて腎実質をフック背面のプラント面で破砕切離し露出した太い血管は結紮切離し,細い血管と切離面の止血は側面のフラット面と水出しバイポーラを使用した.途中,露出した腎盂壁の剥離はブラント面,腎盂切離にはシャープ縁を使用した.腫瘍切離後に開放した腎盂を縫合閉鎖し,より大きく正常腎が残った左腎は,切離面に大網を挿入し切離面を縫合閉鎖した.腫瘍切離中の出血は少量で,フック型HSは腎部分切除に有用な器具と思われた.

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