2008 年 44 巻 5 号 p. 709-713
症例は1生日の女児.出生当日より胆汁性嘔吐を繰り返し,腹部X線写真でdouble bubble signを認め,十二指腸閉鎖症の疑いで当科に紹介となった.上部消化管造影検査では十二指腸水平脚での途絶像を認め,十二指腸閉鎖症を疑い緊急手術を施行した.開腹すると空腸腸間膜に嚢胞を認め,それを軸に腸管が360度捻転をきたしており,捻転を解除後嚢胞のみを剥離して摘出した.病理組織検査で空腸重複症と診断された.腸管重複症により腸捻転をきたした症例は本邦で10数例報告されているが,生後早期の発症により十二指腸閉鎖症との鑑別を要した報告はない.また,腸管重複症では一般に隣接する正常腸管の合併切除が行われるが,自験例では重複腸管のみの切除が可能であった.新生児の腸管重複症と手術に関して文献的考察を加えて報告する.