2008 年 44 巻 5 号 p. 719-722
症例は在胎39週5日,経膣分娩で出生した女児.在胎33週に孤立性の腸管拡張を認め,先天性結腸閉鎖症を疑った.出生直後,注腸造影検査では左側腹部にmicrocolonを認め,左上腹部で盲端に終わっていたこと,腹部超音波検査により右側腹部に孤立性の拡張腸管が認められたことから先天性結腸閉鎖症と診断し,緊急手術を施行した.離断型右半結腸閉鎖症であり,口側と肛門側結腸との口径差が大きいため一期的吻合は行わず,各々の盲端を単孔式人工肛門とした.術後肛門側結腸に食物繊維添加生理食塩水を持続注入し,肛門側腸管の拡張を図り,出生53日目に結腸-結腸吻合術及び人工肛門閉鎖術を施行した.一期的手術が安全に施行し得ない場合や一期的手術により結腸や回盲弁を失う危険性のある場合は二期的手術とするのが最良と思われたまた出生後直ちに手術を含む外科的管理が必要であることから本症の出生前診断の意義は大きいと考えられた.