日本小児外科学会雑誌
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胆道拡張症に合併した胆道穿孔の2例
芦塚 修一吉澤 穣治桑島 成央黒部 仁田中 圭一朗大橋 伸介大木 隆生
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2011 年 47 巻 2 号 p. 231-236

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抄録

症例1は,6か月の男児.鎖肛と結腸狭窄の診断で,右半結腸切除と仙骨会陰式肛門形成術が行われていた.人工肛門閉鎖後に経口摂取を開始した翌日に,突然,腹部が膨満し緊急手術となった.総胆管は拡張し右肝管に穿孔を認め,穿孔部は閉鎖し,総胆管にT-tubeを留置した.その後T-tube造影を行い,術後42日目に,拡張胆管切除と肝管空腸吻合術を施行した.症例2は,1歳10か月の女児.急性膵炎の治療中に,胆道拡張症を指摘され手術となった.大量の胆汁性腹水が貯留し,拡張した総胆管に2か所の穿孔がみられ,胆道造影で共通管の拡張とその内腔にprotein plugを認めた.一期的に根治手術を行い,手術後17日目に退院した.胆道穿孔の原因としては,症例1は術後の経口摂取開始を契機とした胆汁・膵液量の急激な増加と消化管内圧の上昇が疑われ,症例2は,protein plugによる急激な胆道内圧の上昇が考えられた.

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