日本小児外科学会雑誌
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腸回転異常症を伴わないbasilar型小腸軸捻転症の1例
木梨 孝則向井 基鳥飼 源史近藤 千博千々岩 一男
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2012 年 48 巻 2 号 p. 210-215

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抄録

症例は月齢2の男児.1〜2生日より血便,3生日より胆汁性嘔吐を認め,上部消化管造影,注腸造影を施行した.腸回転異常症は否定的で,症状も次第に軽快したため48生日に退院となった.74生日に胆汁性嘔吐が再発し,腹部CT検査,腹部超音波検査で小腸軸捻転症と診断し,開腹術を施行した.小腸のほぼ全長が時計回りに1,080度軸捻転していた.トライツ靱帯および盲腸の位置は正常であり,basilar型小腸軸捻転症と診断した,小腸腸間膜根は狭小であり再発防止目的でLadd手術を施行した.Basilar型小腸軸捻転症は比較的稀であり新生児期発症例は腸回転異常症に伴う中腸軸捻転と類似した病像を示す.腸回転異常症に伴う中腸軸捻転が否定的であっても本症の存在を念頭におき,造影検査に加えて超音波検査や腹部造影CT検査を行う必要がある.

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