日本小児外科学会雑誌
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原著
急性虫垂炎に対する保存的治療後の再発はなぜおこるか
―病理および超音波所見の検討から―
大場 豪広部 誠一新井 真理東間 未来小森 広嗣山本 裕輝宇戸 啓一加藤 源俊小林 真史鎌形 正一郎
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2013 年 49 巻 2 号 p. 214-219

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抄録
【目的】炎症が軽度の急性虫垂炎では保存的治療が可能であるが,再発が問題となる.われわれは超音波検査(US)で虫垂腫大・壁不整を認めても,パワードップラーで血流が豊富であれば,炎症が可逆的で軽快する可能性が高いことを報告してきた.今回,保存的治療後の虫垂炎に関して,再発した症例の病理所見および,退院1 か月後のUS 所見から,再発の危険因子について検討した.
【対象と方法】2005 年1 月~2010 年12 月までに当院で急性虫垂炎と診断した連続する374 例のうち,保存的治療により軽快退院した126 例を対象とした.このうち1)再発し手術となった症例の病理所見および,2)退院後US を施行した症例で再発の有無とそれに関与する画像診断上の再発危険因子を検討した.
【結果】保存的治療後軽快した126 例のうち再発が確認されたのは36 例であった.また,退院1 か月後にUS を施行したのは126 例中65 例であり,このうち再発を17 例に認めた.36 例の再発までの期間は13 日から1,505 日(平均258 日)であり,31 例(86.1%)は1 年以内に再発した.病理所見として,25 例(69.4%)に虫垂の屈曲・狭窄を認め,18 例(50.0%)に虫垂先端部の腫大を認めた.また狭窄部に慢性炎症の所見を30 例(83.3%)に認めた.虫垂の狭窄を認めた症例は,虫垂の先端腫大と慢性炎症が有意に高かった.
退院後1 か月のUS では先端腫大を認めた症例に有意に再発率が高かった.
【結論】虫垂の炎症後に狭窄をきたす症例は狭窄のない症例と比べて有意に再発率が高いことが明らかとなった.US で狭窄を直接描出することは困難であったが,先端腫大として描出することは可能であり,再発の危険性を予測することが可能と考えられた.
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