抄録
正中頸囊胞の再発原因の一つと考えられる異所性粘液囊胞を,病理組織学的に証明し得た1 例を報告する.
症例は5 歳の男児.2 歳頃から右下顎に,径5 mm 大の腫瘤に気づいていた.数か月前から腫瘤が大きくなり受診した.精査にて異所性の粘液囊胞と診断し,摘出術を予定した.術中に囊胞から粘液の排出を確認し,また囊胞から舌骨正中前面に連続する索状物を認めた.以上より囊胞は甲状舌管につながる異所性粘液囊胞と判断し,囊胞摘出術,およびSistrunk手術を行った.
病理組織学的所見では囊胞から舌骨正中に至る索状の結合組織と,結合組織の中に導管を認めた.導管は途中で,萎縮し閉塞した部分が介在していたが,舌骨正中の甲状舌管に連続していた.
以上より本症例は,甲状舌管へ導管でつながっていたと考えられる異所性粘液囊胞と診断した.
本症例は正中頸囊胞の再発原因の一つを理解する上で,貴重な1 例と考えられた.