抄録
症例は13 歳男児である.2010 年5 月,学校検尿にて顕微鏡的血尿を認め,他医にて施行された超音波検査で左腎囊胞を指摘された.同年7 月中旬より肉眼的血尿,左側腹部痛,39 度台の発熱を認め,CT にて左腎感染性腎囊胞と診断された.抗菌薬投与により3 日間で臨床症状および炎症反応は軽快した.膿尿は消失したが,顕微鏡的血尿は持続していた.感染治療2 か月後にCT 撮影したところ,腫瘤径は診断時から約20 mm の縮小を認めた.しかし内部に造影される薄い隔壁を伴う35 mm 大の囊胞性腫瘤が残存しており,感染を併発した腫瘍性病変が疑われた.腎癌を含め悪性腫瘍を除外できなかったため,同年10 月中旬に腹腔鏡下根治的左腎摘除術を施行し,組織学的に腎細胞癌と診断された.尿路感染症の診療の際に,画像所見で腫瘤性病変の存在が疑われる場合には,感染症軽快後も腫瘤性病変を注意深く観察する必要があると考えられた.