日本小児外科学会雑誌
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症例報告
恥骨上部皮下low-grade fibromyxoid sarcoma の1例
牟田 裕紀植村 貞繁吉田 篤史山本 真弓久山 寿子
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2013 年 49 巻 4 号 p. 934-938

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抄録

Low-grade fibromyxoid sarcoma(以下LGFMS)は,稀な深部軟部組織腫瘍であり,緩徐に増大する悪性軟部腫瘍である.今回,恥骨上部皮下LGFMS の1 例を経験したので報告する.症例は3 歳,男児.3 歳時健診で恥骨上部に腫瘤を指摘された.超音波検査で恥骨上部類皮囊腫を疑い,腫瘍単純切除術を施行した.腫瘍は周囲との癒着は無く,容易に切除可能であった.病理学検査では,LGFMS と診断された.文献的に断端陰性の確認もしくは追加広範囲切除を行った症例で,単純切除症例よりも有意に局所再発率,転移率,腫瘍死率の改善を認めたとの報告がある.そのため,初回手術後2 か月に前回切除断端より1 cm の安全域を確保し追加切除を行った.追加切除検体中に一部腫瘍の残存を認めたが,切除断端に腫瘍は認めなかった.再手術後1 年間経過しているが,これまでに腫瘍の再発は認めていない.LGFMS は稀であるが,軟部腫瘍の鑑別診断として考慮すべきであり,またその再発までの期間は長期にわたる経過観察が必要である.

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