2013 年 49 巻 4 号 p. 929-933
盲腸軸捻転症の小児の1 例を経験した.症例は9 歳男児で,腹痛・嘔吐を主訴に受診.腹部単純X 線検査,腹部CT 検査より鏡面像を伴う巨大に拡張した腸管とwhirl sign を認め,小腸軸捻転疑いで緊急開腹術を施行した.開腹所見は,回盲部が720 度時計回りに捻転し,壊死しており,回盲部切除を施行した.上行結腸間膜が後腹膜に固定されておらず,移動性盲腸と判断した.後方視的に画像を検討すると,腹部単純X 線では左側に大腸の拡張像,右側に小腸の拡張像が見られ,盲腸軸捻転症に典型的な所見であった.盲腸軸捻転症は小児では特に稀な疾患であるが,腸閉塞の原因の鑑別として念頭に置くべきである.