2013 年 49 巻 5 号 p. 1003-1007
症例は肝脱出を伴う巨大臍帯ヘルニアの男児.一期的閉鎖は不可能で日齢0 にヘルニア囊を開放しサイロを形成したが,還納が困難なため日齢11 に,Schuster 法に準じて筋層にゴアテックス® パッチを縫着して脱出した肝を覆い皮膚を縫合し腹壁を閉鎖した.日齢18 に縫合部の皮膚壊死,パッチ感染に対しデブリドメントと,J-VACTM ドレーンを用いたパッチ下ドレナージを施行し,パッチが露出したため感染防止にアクアセル®Ag をパッチ表面に被覆して管理した.腹部コンパートメント症候群の発症を懸念し段階的に閉鎖するため,日齢56 にパッチを縫縮した.日齢84 にパッチ部の感染を認めたが良好にコントロールでき日齢91 に腹壁を緊張なく閉鎖し得た.この経験より皮膚を閉鎖せずにゴアテックス® パッチを筋層閉鎖に用いる方法は,パッチが露出したままでもパッチを除去することなく感染のコントロールが可能であり,パッチを段階的に縫縮することで循環呼吸動態に負担をかけず安全に根治できる方法と考えられた.