日本小児外科学会雑誌
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症例報告
出生後に緊急手術を要した巨大な先天性線維肉腫の1例
西 明山本 英輝土岐 文彰鈴木 則夫京谷 琢冶関矢 亜矢子浜島 昭人平戸 純子
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2013 年 49 巻 5 号 p. 996-1002

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抄録
出生当日に緊急手術を要した背部先天性線維肉腫の女児例を経験したので報告する.在胎24週5 日に胎児超音波検査にて右背部の多房性囊胞を含む7 cm 大の突出する腫瘤を指摘された.一部石灰化所見を有し奇形腫が疑われた.胎児貧血,胎児水腫および心不全徴候などは認めなかったが,腫瘤径が10 cm を超えたため在胎31 週1 日に予定帝王切開で出生した.出生体重2,199 g で右背部腫瘤径は10 cm,広基性で頂部の一部で皮膚欠損があった.出生後数時間で急激に進行する貧血,DIC,腫瘍径増大を認め日齢0 で緊急手術を施行した.腫瘍は被膜に包まれ,囊胞内容液のspillage を来したが肉眼的に完全切除した.腫瘍重量は373 g で,腫瘍内出血も認められた.病理組織診断は先天性線維肉腫であり完全切除であった.術後経過は良好で現在術後1 年経過し再発はない.出生前診断される先天性線維肉腫の治療成績は不良であり,周産期管理に当たっては他科との密接な連携のもと機を逃さず適切な外科的治療を行う必要がある.
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