日本小児外科学会雑誌
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原著
Y染色体関連性分化疾患での予防的性腺切除時期について
桑原 強河野 美幸高橋 貞佳安井 良僚押切 貴博伊藤 順庸犀川 太
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2013 年 49 巻 5 号 p. 969-974

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抄録

【目的】Y 染色体関連の性分化疾患(Y-chromosome-related disorders of sex development: 以下Y-DSD)の性腺にはgonadoblastoma が発症することがある.Gonadoblastoma 自体は良性腫瘍であるが,悪性腫瘍であるdysgerminoma を発症する危険性があるため,予防的性腺切除が勧められているが明確な推奨時期の設定はない.Y-DSD の性腺切除の時期について自験例と本邦報告例から考察した.
【方法】Y-DSD で性腺切除を行った自験例6 例と本邦報告18 例について診断時期,切除時期,病理所見について検討した.
【結果】自験例では6 例中手術時年齢8 歳,4 歳の2 例でgonadoblastoma を認め,3 歳以下の3 例では腫瘍性病変は認められなかった.Dysgerminoma を認めた症例はなかった.本邦報告例ではgonadoblastoma を17 例で,dysgerminoma を10 例で認めた(両者の重複9 例).自験例を含めgonadoblastoma を認めた症例の最少年齢は2 歳で,dysgerminoma は全例15 歳以上であった.
【結論】Y-DSD を認めた場合,2 歳以上でgonadoblastoma を,15 歳以上ではdysgerminoma をも発症する可能性があり,2 歳以上では予防的性腺切除術を考慮する必要がある.

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