抄録
【目的】小児では膿瘍形成性虫垂炎(以下本症)に対して保存治療を行い症状が改善した場合,その後に待機的虫垂切除術を行うべきか否かは議論の余地がある.本症に対して待機的虫垂切除術を行う妥当性を検討するため,手術所見と切除標本の病理所見に主眼を置き自験例の臨床経過を考察した.
【方法】2004 年4 月から2012 年2 月までに待機的虫垂切除術を施行した本症29 例を対象とし,後方視的に臨床経過を検討した.
【結果】初診時年齢は平均8.2±3.3 歳であった.病脳期間は平均7.1±3.5 日,初期保存治療に要した入院期間は平均13.2±5.0 日であった.待機手術までの期間は平均114.9±26.6 日,初回保存治療を含めた総入院期間は平均22.1±5.6 日であった.創部感染,腹腔内膿瘍,腸閉塞やその他の合併症は1 例もなかった.手術時間は平均96.9±55.1 分であった.切除虫垂は14 例(48.2%)で虫垂内腔が狭小化しており,病理組織学的に14 例(48.2%)では炎症所見が消失していたが,15 例(51.7%)では急性炎症を認めた.
【結論】本検討の切除標本では組織学的に急性炎症を認める症例があり,約半数に虫垂内腔の狭小化がみられた.この所見より虫垂炎再発のリスクを内包しているため,本症に対しては待機的虫垂切除を行うことが妥当であると思われた.