日本小児外科学会雑誌
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原著
女性外科医が育児をしながらキャリアアップするために必要なことは何か?
―女性医師79名に対するアンケート調査―
星野 真由美渡邊 揚介後藤 博志星 玲奈蘇我 晶子杉藤 公信池田 太郎越永 従道
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2013 年 49 巻 7 号 p. 1209-1216

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抄録
【目的】女性医師を対象としたワークライフバランスに関するアンケート調査の結果を検討し,女性外科医の就労支援における今後の課題について考察した.
【方法】東京都立大塚病院に勤務する女性医師79 名を対象にアンケート用紙を配布し,無記名式での回答を回収し集計した.
【結果】アンケート回収率は73.4%であった.既婚者は65.5%であり,子供のいる女性医師は43.1%であった.非常勤医師の66.7%が子供のいる女性医師であり,子供のいる女性医師の41.7%が非常勤医師であった.男性医師との対等性では,未婚女性医師よりも既婚女性医師において,不等であると回答する割合が高かった.共働き世帯での就労環境の配偶者との対等性では,子供のいる女性医師の58.3%が不等であると回答した.91.7%が配偶者の育児協力・支援を得られていると回答したが,41.7%が配偶者の育児協力・支援について不満であると回答した.育児中の女性医師の継続就労に必要な条件に,子供のいる女性医師の84.0%が「女性医師本人のモチベーション・意欲」と回答し,ついで「託児施設の充実」および「配偶者の理解と協力」と回答した女性医師が同率の68.0%であった.
【結論】育児中の女性外科医のキャリアアップには,本人のモチベーション・意欲は必要不可欠であるが,指導者や同僚,家族がよき理解者となり,個々の女性医師が考える育児と仕事のバランスや家庭的背景などに合わせて柔軟な対応をすることも望まれる.男性を中心とした日本社会全体の意識改革は最も重要であり,妊娠・出産・育児を考慮した専門医制度や学会併設託児所の整備なども今後の課題である.
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© 2013 特定非営利活動法人 日本小児外科学会

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