日本小児外科学会雑誌
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原著
直腸粘膜生検によるHirschsprung 病病理診断におけるcalretinin 免疫染色の有用性の検討
服部 健吾弓場 吉哲佐藤 正人宮内 雄也
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2013 年 49 巻 7 号 p. 1203-1208

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抄録

【目的】直腸粘膜生検によるHirschsprung 病(以下H 病)の病理診断において,アセチルコリンエステラーゼ染色(acetylcholinesterase histochemistry;以下AChE 染色)は最も正診率が高いとされる.一方で近年,正常結腸の粘膜下・筋層の神経節細胞や内因性神経線維に陽性を示すcalretinin 免疫染色(calretinin immunohistochemistry;以下CR 染色)の同診断における有用性が指摘されてきている.今回,両染色の比較を中心に同診断におけるCR 染色の有用性を検討した.
【方法】2011 年4 月から2012 年3 月までの間に当科でH 病を疑い直腸粘膜生検を施行し,その標本に対してAChE 染色とCR 染色を併施した症例を対象に,その所見を後方視的に検討した.
【結果】対象は手術となった新生児4 症例,再手術となった3 歳児例,さらに手術とはならなかった乳児3 症例の合計8 症例であった.後に手術にてH 病との確定診断を得た5 症例ではいずれもAChE 染色陽性,CR 染色陰性であった.但しそのうちの2 症例は1 回目の生検ではAChE 染色およびCR 染色がともに陰性であったために確定診断に至らず,再度生検を施行してAChE 染色陽性の結果を得た.手術とならなかった3 症例はいずれも1 回目の生検にてAChE 染色陰性,CR 染色陽性の結果を得た.
【結論】H 病直腸粘膜生検の病理診断においてCR 染色はAChE 染色評価困難例における補助診断として特に有用であり,CR 染色を追加することで不要な再生検を防げた可能性がある.

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