日本小児外科学会雑誌
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症例報告
甲状腺全摘術を施行した多発性内分泌腫瘍症(MEN)2B 型の6 歳女児例
林 憲吾廣谷 太一石川 暢己下竹 孝志
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2013 年 49 巻 7 号 p. 1269-1272

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抄録

今回我々は,6 歳で甲状腺全摘出術を施行した多発性内分泌腫瘍症(multiple endocrine neoplasia 以下MEN)2B 型の1 例を経験したので報告する.症例は乳児期から便秘症をきたしていた女児で,6 歳になり眼瞼や口唇の肥厚性変化,舌の多発性結節に気づかれ精査を進めた.身体所見や画像検査では頸部に明確な腫瘍は証明されなかった.しかしカルシトニン分泌刺激試験が陽性,RET 遺伝子の点突然変異が確認されたことによりMEN2B と診断した.甲状腺全摘出術+頸部リンパ節郭清術を施行し,甲状腺両葉に多発性の髄様癌が確認され,リンパ節転移は陰性であった.術後経過は順調で,術後の血中カルシトニン値はゼロレベルとなり再発徴候は認めていない.本症は稀な疾患であるが,特徴的な身体所見や臨床経過から早期に発見できる可能性があり,便秘症にて外来フォロー中の患児に初期徴候がないか注意深く身体所見を診察することが重要と考えられた.

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