抄録
症例は9 歳男児.自転車による自己転倒,腹部打撲にて救急搬送された.腹部所見にて左下腹部に圧痛,反跳痛,筋性防御を認め,血液検査でも炎症所見を認めたが,翌日には症状が消失したため受傷後6 日に退院となった.しかし受傷後11 日にイレウス症状を認めたためイレウス管を挿入し,受傷後16 日に造影CT 検査とイレウス管造影を行ったが狭窄所見を認めず再び退院となった.受傷後32 日に再々度のイレウス症状にて入院となったため単孔式腹腔鏡補助下手術を行った.腹腔鏡では器質的異常を認めなかったため,臍創部から小腸を授動して直視下にて精査を行った.Treitz 靭帯から190 cm の部位に触診で内腔の輪状狭窄を認め,小腸部分切除術を行った.小児の鈍的腹部外傷後による遅発性小腸狭窄は診断・治療に苦慮するが臍部から単孔式腹腔鏡補助下手術を行い,次に臍部小切開創から腸管を体外に授動して触診することによって有効な診断・治療が可能であった.