2014 年 50 巻 1 号 p. 96-102
15 歳,女児.3 度の繰り返す大腸穿孔に対する原因精査を目的に当科を受診した.1 歳時に内反足,11 歳時にS 状結腸穿孔,13 歳時にS 状結腸憩室穿孔,15 歳時に吻合部穿孔の既往がある.現症として前胸部血管の透見・末端早老症を認めた.以上より血管型Ehlers-Danlos 症候群(血管型EDS)が疑われ,皮膚生検で得られた培養線維芽細胞の生化学・遺伝子検査により確定診断に至った.その後,術後腸閉塞に対し2 回の手術を要した.血管型EDS はIII 型コラーゲン遺伝子の変異により血管・腸・子宮などの破裂をおこしうる疾患で,古典型EDS にみられるような皮膚の過伸展や関節弛緩は軽微である.本症の存在を認識することが重要であり,鑑別診断として念頭におくことが早期診断・治療につながると思われた.