日本小児外科学会雑誌
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症例報告
遺伝子解析で確定診断した先天性クロール下痢症の1例
渡邉 揚介池田 太郎大橋 研介小野 賀功橋本 真金田 英秀古屋 武史井上 幹也杉藤 公信越永 従道
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2014 年 50 巻 4 号 p. 831-837

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抄録
胎児期に消化管閉鎖症が疑われ,出生後に遺伝子解析で先天性クロール下痢症(congenital chloride diarrhea,以下CCD)と診断した稀な1 例を経験したので報告する.症例は日齢0 の男児.妊娠29 週0 日の胎児超音波検査で腸管拡張と母体の羊水過多を指摘され,妊娠35 週のMRI 検査でも同様の所見を認めた.在胎37 週0 日,頭位経腟分娩で出生した.出生時より腹部膨満を認めたが肛門の欠如や位置異常は認めず,注腸造影でもmicrocolon やcaliber change は認めなかった.一方,出生直後より多量の水様性下痢を認め,便中Cl 濃度が149 mEq/ l と高値であったためCCD と診断した.電解質と水分の補充により良好な経過をたどり,日齢53 に退院した.入院中に施行した遺伝子検査でSLC26A3 遺伝子変異を認め,CCD と確定診断した.胎児期に消化管拡張を認めた際には,頻度は少ないが鑑別診断としてCCD も考慮すべきである.
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