抄録
外傷性膵損傷のうち,主膵管損傷を伴うIIIb 型の治療方針に関してはいまだ標準的治療が確立されているとは言えず,治療法はそれぞれの施設の方針で異なっている.今回,膵断裂部-胃内瘻化にて,ドレナージ治療,さらに尾側膵温存を試みた2 症例を経験したので報告する.症例は14 歳男児と7 歳男児.いずれも日本外傷学会分類IIIb 型と診断し,保存的治療を試みたが改善せず,急性期の初回手術で膵断裂部のドレナージ,同時に膵断裂部-胃内瘻化を試みた.2 症例ともに術後の膵液瘻や腹腔内膿瘍などの合併症は認めず,ドレナージとしては良好な結果であったが,内瘻化には至らず,尾側膵の萎縮がみられている.膵断裂部-胃内瘻化には術式のさらなる工夫が必要である.