症例は日齢0 の女児,主訴は左胸背部腫瘤である.生直後より胸背部に腫瘤を認め,本院に新生児搬送となった.呼吸器症状は特になく,他に異常を認めなかった.CT 上は骨化した外殻を有する腫瘍で,第6 肋骨と連続性があり,骨軟骨腫が疑われたが,増大傾向を示し悪性の可能性も否定できなかったため,肋骨の一部も含めて合併切除した.胸壁再建は必要としなかった.病理診断は肋骨より発生した胸壁間葉性過誤腫であった.術後約1 年を経過するが,再発や側彎症を認めなかった.本症は極めて稀な腫瘍であるが,CT などの画像所見が特徴的であり,小児胸壁腫瘍の場合には,本症を念頭におくことが重要である.また,その治療については,以前は胸壁合併切除が行われていたが,最近保存的治療による縮小もしくは消失例が報告されており,治療法とその予後に関して文献的考察を加えて報告する.