日本小児外科学会雑誌
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症例報告
先天性Spigelヘルニアの1例
吉澤 一貴好沢 克高見澤 滋畑田 智子澁谷 聡一
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2015 年 51 巻 4 号 p. 828-831

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抄録

症例は8 か月の女児.出生時に左側腹部の膨隆に気づかれ,精査加療目的で当院へ救急搬送となった.左側腹部に5 cm 大の腹壁の膨隆を認めたが,用手的圧迫で容易に還納された.腹部超音波検査で筋層の欠損と腸管の脱出を認め,脱出部位よりSpigel ヘルニアと診断した.消化管の通過障害を認めなかったため,体重増加を待って生後8 か月で手術を行った.腹直筋外縁のSpigel 腱膜より脱出するヘルニア囊を認め,ヘルニア門は5×3.5 cm で,ヘルニア内容は主に横行結腸であった.ヘルニア囊を切除し,メッシュを使用することなく腹直筋外縁と腹横筋・内腹斜筋・外腹斜筋とを2-0 Vicryl® を用いて結節縫合してヘルニア門を閉鎖した.術後経過は良好で,手術から1 年経った現在も再発を認めていない.腹壁が脆弱な新生児期での手術を避け体重増加を待つことは,手術時期を検討する上で1 つの選択肢になり得ると思われた.

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