日本小児外科学会雑誌
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症例報告
胆囊穿通をきたした先天性胆道拡張症の1例
中山 馨伊勢 一哉清水 裕史山下 方俊石井 証北條 洋後藤 満一
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2015 年 51 巻 5 号 p. 910-916

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抄録

先天性胆道拡張症では,胆道穿孔による胆汁性腹膜炎をきたし発見される例がみられる.穿孔部位は,そのほとんどが総胆管であり,胆囊はまれである.今回我々は,胆囊の肝床側に穿通をきたした先天性胆道拡張症の1 例を経験したので報告する.症例は1 歳8 か月女児.発熱,嘔吐,腹部膨満で発症した.腹部CT 検査で腹水および胆囊壁の浮腫性肥厚を認め,急性胆囊炎による腹膜炎を疑い,腹腔鏡下手術を施行した.腹腔内に胆汁性腹水を認め,胆囊頸部の肝床側剥離面に穿孔部を認めた.術中胆道造影検査で,総胆管の紡錘状の拡張,膵・胆管合流異常および共通管内のprotein plug を認めた.先天性胆道拡張症に合併した胆囊穿孔と診断し,腹腔鏡下胆囊摘出術および腹腔ドレナージ術を行った.術後経過は良好で,術後3 か月に先天性胆道拡張症に対する待機的根治術を施行しえた.発症機序としては,protein plug による胆囊内圧の上昇が考えられた.

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