日本小児外科学会雑誌
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症例報告
術中胆道造影により診断した胆管非拡張型膵・胆管合流異常の1 例
―画像診断に関する考察を中心に―
田原 和典長谷川 真理子畑中 政博五十嵐 昭宏藤野 順子石丸 由紀池田 均
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2015 年 51 巻 5 号 p. 921-926

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抄録

急性膵炎で発症し,最終的に胆囊穿刺による直接胆道造影で胆管非拡張型膵・胆管合流異常と診断した1 例を報告する.症例は10 歳,女児.主訴は上腹部痛,嘔吐で,血中膵酵素の上昇を認め急性膵炎と診断した.MRCP を行うと長く軽度拡張した共通管を認め膵・胆管合流異常が疑われた.DIC-CT,ERCP では確定診断にいたらなかったが胆囊穿刺による直接胆道造影を行い,合流部が乳頭部括約筋の上流にあり,造影剤が膵管内へ逆流することを確認して膵・胆管合流異常と診断した.また胆囊胆汁中の膵酵素は異常高値を示すことも確認された.共通管が比較的短い症例では膵・胆管合流異常の診断は決して容易でなく,外科治療の適応根拠となる確定診断には直接胆道造影を含めた複数の画像検査を行い,診断を得る必要がある.

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