日本小児外科学会雑誌
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症例報告
胸腔鏡下に切除し得た限局型キャッスルマン病の1例
遠藤 耕介横井 暁子玉城 昭彦武本 淳吉森田 圭一岩出 珠幾大片 祐一福澤 宏明尾藤 祐子前田 貢作
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2015 年 51 巻 5 号 p. 937-941

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抄録
キャッスルマン病はリンパ増殖性疾患で,小児例は稀である.限局型キャッスルマン病(以下,UCD)は完全切除で根治が得られる.上縦隔発生のUCD に対し,胸腔鏡下に切除し得た1 例を報告する.症例は7 歳男児,持続する不明熱およびCRP 高値にて紹介,胸部CT にて上縦隔に2×4 cm 大の腫瘤を認め,FDG-PET にて集積亢進(SUV max:3.586)を認めた.悪性リンパ腫またはUCD を疑い手術を施行した.手術は胸腔鏡下に行った.腫瘤は大小2 つのリンパ節からなり,一方のリンパ節を切除,術中迅速病理にて悪性リンパ腫は否定的であり残りのリンパ節も切除した.病理検査の結果hyaline vascular type のキャッスルマン病の診断に至った.術後経過は良好で,術後2 日目に退院,術後1 年現在再発を認めていない.UCD は稀であるが,縦隔腫瘤の鑑別診断として考え,本疾患が疑われた場合には完全切除を目指す必要がある.
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