抄録
膵頭部くり抜きを伴う膵管空腸側々吻合術(以下Frey 手術)は,慢性膵炎に対する安全で効果的な外科的治療法として広く使用されているが,再手術の報告も散見される.今回我々は,小児期にFrey 手術を行い,膵炎再燃をきたし再手術を要した症例を経験した.症例は19 歳男性で,8 歳時より膵管癒合不全による膵炎を繰り返すようになり,11 歳時にFrey 手術が施行された.14 歳頃より膵尾部主体の膵炎を繰り返すようになり,19 歳時に膵尾部切除術が施行された.手術所見では,膵尾部周囲の癒着が強く,脾温存が困難であった.術後経過では,膵液瘻や癒着性イレウスを認め,再開腹を要したが,術後1 年を経過し,膵炎の再燃はない.Frey 手術は小児の慢性膵炎でも適用できる優れた外科的治療法であるが,膵炎再燃による再手術を回避するために工夫の余地があると考えられた.