日本小児外科学会雑誌
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原著
新生児期に手術が必要となった先天性囊胞状腺腫様奇形(CCAM)の検討
芦塚 修一内田 豪気金森 大輔馬場 優治平松 友雅大橋 伸介田中 圭一朗黒部 仁吉澤 穣治大木 隆生
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2016 年 52 巻 5 号 p. 1025-1030

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抄録

【目的】先天性囊胞状腺腫様奇形(以下,CCAM)は,新生児期に呼吸障害を発症し手術が必要となるものも少なくない.当施設で経験した呼吸障害により新生児期に手術が必要となった患児を後方視的に検討し,出生後の管理と治療について考案した.

【方法】2007 年以降に呼吸障害で新生児期に手術を行った6 例の周産期および周術期の臨床経過の特徴と外科的治療(時期と術式)に関して検討を行った.

【結果】全例が出生前診断をされており,性別は男児5 例,女児1 例であった.Stocker 分類ではI 型3 例,II 型2 例,III 型1 例で,占拠部位は左上葉1 例,左下葉3 例,右下葉が2 例であった.全例が出生直後から頻呼吸や陥没呼吸などの呼吸症状が出現し,胸部X 線写真上も縦隔の偏位を認めた.4 例で呼吸障害が急激に進行し,そのうち1 例目が挿管後に出生後34 時間で手術を行い,残り3 例はI 型で出生5 時間以内に手術となった.また,1 例は一度頻呼吸が改善した後に再増悪し日齢9 に手術を行い,III 型の1 例が頻呼吸の持続で日齢5 に手術となった.術式は左上葉切除が1 例,左下葉切除が3 例,右下葉切除が2 例で,平均手術時間145 分,平均出血量14 ml で術後平均入院期間は30 日であった.術後合併症は,胸水1 例,気胸1 例,縦隔気腫1 例で,2 例が新生児遷延性肺高血圧症(以下,PPHN)を合併した.

【結論】CCAM は出生後の急性呼吸不全も考慮し計画的に分娩させ,常に手術可能な体制をとることが重要である.また,出生後早期の呼吸不全に対する人工呼吸器管理は症状を増悪させる危険があり,挿管し呼吸管理を行うより外科的治療が優先される.手術はまず,囊胞切開や切除を行い囊胞の減圧を行うことが重要である.

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