2016 年 52 巻 5 号 p. 1083-1086
症例は6 か月女児.発熱が1 週間持続し,尿路感染症と診断された.超音波検査で左腎盂内の巨大な結石,排尿時膀胱尿道造影では両側の膀胱尿管逆流(VUR)を認め,VUR を基礎疾患とし腎盂に巨大な感染結石を形成したと推測した.治療として腎盂切開による結石摘出と膀胱尿管新吻合術(Cohen 法)を二期的に施行する方法を選択した.本症例は感染結石の起因菌として典型的なProteus 属の検出,結石摘出術までのアルカリ尿の持続,結石成分分析でリン酸カルシウムとシュウ酸カルシウムの混合結石であった結果から,一次性感染結石の可能性が高いと考えられた.結石の除去と基礎疾患の治療を確実に行ったことで,今後の尿路感染症や結石の再発予防が期待できると思われる.