日本小児外科学会雑誌
Online ISSN : 2187-4247
Print ISSN : 0288-609X
ISSN-L : 0288-609X
症例報告
異所性膵を認めた2箇所の高位空腸膜様閉鎖の1例
脇坂 和貴浜田 弘巳
著者情報
キーワード: 小腸閉鎖症, 異所性膵
ジャーナル フリー

2016 年 52 巻 5 号 p. 1087-1090

詳細
抄録

症例は日齢3 の女児.在胎27 週時に胎児超音波検査で先天性小腸閉鎖症が疑われた.在胎31週5 日に胎児機能不全を認め,緊急帝王切開で出生した.出生時体重は1,616 g,明らかな外表奇形を認めず,腹部X 線検査にてtriple bubble sign を認めた.高位空腸閉鎖と診断し,胃管にて減圧を行い,日齢3 に手術を行った.手術所見ではトライツ靭帯から3 cm の空腸に膜様閉鎖を認め,さらに3 cm 肛門側に2 箇所目の膜様閉鎖を認めた.これらの膜様閉鎖部を含めて小腸部分切除を行った.病理組織診断では2 箇所の膜様閉鎖を認め,口側の膜様閉鎖部にHeinrich III型の異所性膵を認めた.異所性膵を伴う小腸閉鎖の報告は検索した限り1 例のみで,膜様閉鎖のみの多発型については報告がなかった.本症例で経験した異所性膵を伴う2 箇所の高位空腸膜様閉鎖は極めて稀な病態であると考えられた.

著者関連情報
© 2016 特定非営利活動法人 日本小児外科学会

この記事はクリエイティブ・コモンズ [表示 - 非営利 - 継承 4.0 国際]ライセンスの下に提供されています。
https://creativecommons.org/licenses/by-nc-sa/4.0/deed.ja
前の記事 次の記事
feedback
Top