症例1 は7 歳男児.急性虫垂炎の内科的治療中に,腹痛,発熱が持続するため造影CT を施行した.臍周囲で腸管の捻転が疑われるclosed loop を形成する所見を認め,機械的イレウスと診断し緊急手術を施行した.開腹するとCT でclosed loop が指摘された位置で,虫垂先端に大網が癒着してバンドを形成し,そこに小腸が陥入したと考えられた.症例2 は5 歳男児.間欠的な腹痛,嘔吐で近医を受診した.腹部単純X 線写真および腹部造影CT で腸管拡張とニボー像を認めていたため,機械的イレウスが疑われ当院へ救急搬送となり,緊急手術を施行した.虫垂の先端がバウヒン弁から70 cm 口側の回腸に付着し,その間隙に回腸が陥入し捻転を来たしていた.小腸の虫垂付着部には小腫瘤を認め,病理所見でメッケル憩室と診断した.虫垂に関連した内ヘルニアは比較的稀な病態であり,本症例について検討し,文献的考察を加え報告する.