日本小児外科学会雑誌
Online ISSN : 2187-4247
Print ISSN : 0288-609X
ISSN-L : 0288-609X
症例報告
膵頭部病変を有する先天性高インスリン血症に対して十二指腸温存膵頭部切除術を施行した1例
福原 雅弘永田 公二栗山 直剛久田 正昭三好 きな孝橋 賢一田口 智章
著者情報
ジャーナル フリー

2016 年 52 巻 7 号 p. 1321-1326

詳細
抄録

症例は6 か月男児.出生後より遷延する低血糖を認め,遺伝子異常を伴わないdiffuse type の先天性高インスリン血症(congenital hyperinsulinism:以下,CHI)と診断された.内科的治療を先行して行ったが治療抵抗性であった.生後5 か月時に18F-DOPA PET を施行し,膵頭部に2 か所の病変を有するfocal type CHI と診断され,手術目的に当科紹介となった.生後6 か月時に十二指腸温存膵頭部切除,膵体尾部空腸吻合,Roux-en Y 法による腸管再建を行い,術後44 日目に退院した.術後1 年経過した現在,インスリン依存性糖尿病などの合併症は認めていない.遺伝子異常を伴わないfocal type のCHI は,本邦からの報告はなく,本症例では18F-DOPA PET が局在診断に有用であった.膵頭部に病変部を有するCHI の標準的術式について文献的考察を加え報告する.

著者関連情報
© 2016 特定非営利活動法人 日本小児外科学会

この記事はクリエイティブ・コモンズ [表示 - 非営利 - 継承 4.0 国際]ライセンスの下に提供されています。
https://creativecommons.org/licenses/by-nc-sa/4.0/deed.ja
前の記事 次の記事
feedback
Top