2016 年 52 巻 7 号 p. 1321-1326
症例は6 か月男児.出生後より遷延する低血糖を認め,遺伝子異常を伴わないdiffuse type の先天性高インスリン血症(congenital hyperinsulinism:以下,CHI)と診断された.内科的治療を先行して行ったが治療抵抗性であった.生後5 か月時に18F-DOPA PET を施行し,膵頭部に2 か所の病変を有するfocal type CHI と診断され,手術目的に当科紹介となった.生後6 か月時に十二指腸温存膵頭部切除,膵体尾部空腸吻合,Roux-en Y 法による腸管再建を行い,術後44 日目に退院した.術後1 年経過した現在,インスリン依存性糖尿病などの合併症は認めていない.遺伝子異常を伴わないfocal type のCHI は,本邦からの報告はなく,本症例では18F-DOPA PET が局在診断に有用であった.膵頭部に病変部を有するCHI の標準的術式について文献的考察を加え報告する.