日本小児外科学会雑誌
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症例報告
外傷性遅発性小腸狭窄に対し腹腔鏡補助下手術を施行した1例
―単孔式腹腔鏡補助下イレウス手術における術中消化管減圧の工夫―
小野 健太郎増本 幸二高安 肇瓜田 泰久新開 統子田中 秀明五藤 周佐々木 理人
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2016 年 52 巻 7 号 p. 1337-1341

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抄録

症例は9 歳女児.交通事故により受傷し,前医で骨盤骨折に対し加療された.受傷後5 日目より経口摂取を開始したがイレウス症状を反復した.同6 週目に腹部膨満に加え発熱をきたし当科紹介となった.腹部造影CT 検査で腸管の拡張と骨盤内膿瘍を認め,臍部小切開による腹腔鏡補助下手術を行った.腸管拡張が強かったため,最初に臍部創から小腸を引き出し,術前に挿入しておいたイレウス管を操作し腸管を減圧した.その後腹腔鏡下に観察したところ右下腹部前腹壁と回腸との癒着が判明し,これを剥離・授動し創外に脱転すると腹壁と癒着していた箇所に腸間膜の欠損を伴う全周性狭窄を認めたため同部位を切除した.術後経過は順調で,術後13 日目に骨盤骨折の治療のため前医へ転院した.鈍的腹部外傷後の遅発性小腸狭窄によるイレウスは診断に苦慮することがあるが,臍部を用いた単孔式腹腔鏡補助下手術は安全に施行でき,診断にも治療にも有用であった.

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