コイン形リチウム電池の誤飲により食道気管瘻および反回神経麻痺をきたした1 例を経験した.症例は9 か月,男児.全身麻酔下に食道内視鏡を行い,誤飲から6 時間後に食道入口部に嵌入した電池を摘出した.誤飲から8 日目に飲水を開始したが,むせ込みと誤嚥性肺炎を認め,食道気管瘻と反回神経麻痺と診断した.その後,絶飲食として経管栄養および経静脈栄養と第XIII 因子製剤による保存的治療を行い,誤飲から71 日目,食道気管瘻の閉鎖を確認して経口摂取を再開した.小児のリチウム電池誤飲による食道異物の本邦報告例を検索すると,症例報告は2000 年以降に急増しており,自験例を含め57 例が集計された.リチウム電池の誤飲は重大な組織損傷を招くため,家庭内では事故防止の意識を高め,電池の製造者等に対しては早急の対策を求める必要がある.