2016 年 52 巻 7 号 p. 1333-1336
今回,我々は非常に稀な鼠径部尿管ヘルニアの1 例を経験したので報告する.症例は14 歳男児.主訴は左陰囊腫大で,既往に1 歳時の左鼠径ヘルニア手術があった.左陰囊水瘤の診断で,全身麻酔下に手術を施行したところ,鼠径管内に管状構造物が内鼠径輪より脱出しており,臨床的印象から尿管を疑い温存した.術後のDIP-CT(drip infusion pyelography-computed tomography)で左尿管が鼠径管内に脱出する走行異常を認め,また,1 歳の手術時にヘルニア囊が確認されていたことにより,先天的な傍腹膜型の鼠径部尿管ヘルニアと診断した.本疾患は術前診断が困難であり,鼠径ヘルニア根治術時に異常に太い精管様構造物を認めた際は,本疾患を考慮し加療する必要があると考えた.本邦においては鼠径部尿管ヘルニアの報告症例はなく,我々の症例が最初の論文報告例である.