日本小児外科学会雑誌
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原著
当院における先天性食道狭窄症の臨床的検討
中島 秀明福本 弘二矢本 真也関岡 明憲野村 明芳大山 慧山田 豊漆原 直人
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2017 年 53 巻 1 号 p. 56-62

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抄録

【目的】先天性食道狭窄症(CES)の治療は症例に応じた検討が必要である.今回われわれは当院で経験したCES の背景・治療方法・成績などを検討した.

【方法】1977 年から2015 年に当院で治療した計15 例のCES を対象とし,診療録をもとに後方視的に検討した.

【結果】主な合併疾患はC 型食道閉鎖4 例,先天性心疾患4 例,十二指腸閉鎖症2 例であった.発症は11 例が離乳食開始時期であったが,早期例も3 例認めた.発症から診断までの期間は平均9.3 か月で,10 例が半年以内であったが,4 例で1 年以上を要した.狭窄部位は食道上部1 例,中部2 例,下部12 例であった.食道造影所見はtapered narrowing が11 例,abrupt narrowing が4 例であった.15 例の治療の内訳は,初期の2 例では初めから手術が行われ軽快した.他の13例には拡張術を行ったが,軽快したのは4 例のみであった.軽快しなかった9 例に手術と術後拡張術を行い,うち8 例は軽快したが,狭窄を2 か所に認めた1 例は再手術を要した.手術を施行した11 例の到達法は狭窄部に応じて胸部(4 例),腹部(6 例),胸腹部(1 例:狭窄部2 か所)が選択され,近年の4 例は内視鏡外科手術であった.術式は筋層切開術4 例,部分切除術6 例,狭窄部2 か所に対する部分切除端々吻合と筋層切開1 例で,うち腹部到達法の7 例は噴門形成術が付加された.病型は気管原基性狭窄4 例,筋線維性狭窄10 例,膜様狭窄1 例であった.

【結論】本症は病型診断が困難であり,個々の症例に応じて治療方針の検討が必要である.外科治療における術式は,病型に関わらず食道狭窄部部分切除・横縫合が成績良好であった.

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