2017 年 53 巻 1 号 p. 94-99
先天性声門下狭窄症は比較的まれな疾患であり,高度狭窄例では気管切開からの離脱に難渋することが多い.症例は4 歳10 か月女児.出生直後より呼吸不全が出現し,緊急で気管切開を施行された.3 歳時の精査で,両側声帯麻痺・声門の軽度狭窄・声帯から連続する高度の声門下狭窄が確認された.経時的に狭窄は改善せず,気管切開から離脱目的にextended-Partial Cricotracheal Resection;ePCTR と声門開大術(Ejnell 法)を同時に施行した.術後,声門前交連の瘢痕による癒合と右仮声帯の肉芽による気道狭窄を認め,抜管に難渋した.喉頭顕微鏡下に瘢痕・肉芽の切除を行い,術後19 日目に抜管に成功,術後3 か月で自宅退院した.術後1 年で新たな合併症は生じていない.高度の声門下狭窄症に対して,ePCTR と声門開大術を同時に施行し,術後に喉頭顕微鏡下喉頭形成術を行うことで,気管切開から一期的に離脱した.